白夜行

白夜行 (集英社文庫)白夜行 (集英社文庫)
(2002/05)
東野 圭吾

商品詳細を見る

白夜行』  東野圭吾・著

順番が逆になってしまったが、先週読んだ『幻夜』に姉妹作があると知り
土曜日に最寄駅にある書店で早速購入。
間に、昭和将棋史 (岩波新書)←こんな本や、
船場往来―語り継ぐなにわ商法←こんな本や、
乱世を生きる経営―よみがえる船場商法←こんな本を挟みながら、
土→日→月と3日で読了。(※上記三冊は父親からの借本)
・将棋十五世名人・大山康晴氏の回顧録→
・大阪船場の寝具問屋「和田哲」三代目社長・和田亮介氏の経営本→
東野圭吾の長編ノワール小説 と、
我ながら「わけのわからん」取り合わせ。でも、それぞれに皆面白い。
幻夜』読了後に書いた先日のブログで、「得した気分」と書いたが、
この『白夜行』を読み終えた今は、「こっちを先に読めば良かった…」
と少しだけ後悔。
唐沢雪穂新海美冬」の両キャラ&両ストーリーに作者が明確
な連続性(繋がり)を「認めているわけではない」とのことだけれど、
こりゃ、どう読んだって「ターミネーター1&2」ばりの連作なのは、
明白だわナ。

この2作品で東野圭吾が創り上げた二人のアンチヒーロー悪女(?)
(唐沢雪穂→新海美冬)は、故・大藪春彦が創作した伝説のアンチ
ヒーローたち(※朝倉哲也・伊達邦彦・北野晶夫…等)でさえ、ただの
「銃器&車&ドンパチ好きのケツの青いガキ」に思わせてしまう程の
“凄みのある(怖い)”キャラクター。
男性主人公のノワールやハードボイルドを評する時によく使われる
常套句「非情」なんてのは、「そんなん、当ったり前やないの!」と
蹴散らせる勢いで、「ウチのモン(物)はウチのモン。アンタのモンも
ウチのモン。世の中全てウチのモン…」と突き進む怪物的な怖さだ。

何故それだけ“怪物的に怖い”か?と言えば…やっぱり、“絶対に
怪物本人の独白を許さない”「描写の視点」と「構成の妙」かな・・・。

2作とも、彼女(たち)本人視点の描写が全くなく、彼女と彼女の「影
のパートナー(男性)」の人生に巻き込まれ&破滅してゆく、周りの
人間たち視点の描写に徹して
いる。だから読者は、「何が起こった
か?」という”現象”の全体は俯瞰出来ても、「どういう心持の人間
が、何故起こしたのか?」という“心象”が完全には俯瞰出来ない。
もっと突っ込んで言うと…「犯罪を追う(※解明しようとする)者」は、
比較的冗舌に内面を吐露するが、「犯罪を行い&追われる者」が
二人居て、その内一人の内面を作者は、一切明かしてくれない
(=読者が想像するしかない)。という構成になっているわけ。
(※『白夜行』の方は、二人とも分らんけど・・・)
『白夜行』の時代背景は、1973〜1992年。「高度成長期の終焉→
オイルショック・不況→プラザ合意→バブル景気→その終焉」まで
の社会・世相・風俗を、物語の設定に絶妙に生かしている所が
この時代をリアルタイムで生きてきた私には、よく分かって楽しい。

『幻夜』の方は、1995〜2000年辺りまでの“最近過去”を時代背景
としていたが、特に物語の発端になる「阪神大震災」は、私自身、
地元・神戸で「1.17」を実体験(※地震直前に関東から神戸へ転居
していた。というオマケ付き)しているだけに、臨場感抜群だった。

このシリーズ(?)、この二作以後も続けてくれないだろうか?
沢山じゃなくてもいい。せめて、もう一作。是非読みたい。
出来れば、「怪物 vs 怪物」の物語を・・・。

【追記】:『幻夜』を読んだ後に、思い出した事。

2001〜2003年頃。サントリーの山崎蒸留所に人気ミステリ作家数人を
集めて、日本推理作家協会&サントリー協力で行われたトークショーが、
CSTVの『ミステリー・チャンネル』で放送されていたのを視た事があった。

当時協会理事長だった北方謙三、理事の大沢在昌が司会を務め、逢坂
剛、高村薫、馳星周、小池真理子、藤田宜永、黒川博行・・・(敬称略)等
の御歴々が出演した中に、東野氏の“男前な”顔も混じって、「ウィスキー
&ミステリー」などという、“殆ど無理矢理な雑談”をしていたわけだが…、
そんな中、「近況は?」などと、北方理事長による“下手糞な振り”(※あの
センセ、TV映えはするんだけど司会は酷いw)を受けた東野氏。
意味ありげな含み笑いを伴いながら、
「いやぁ〜最近、“カリスマ美容師”に髪を切ってもらいましてねェ・・・」
随分唐突な話を始めた。
TVを見ていた私(※そして多分会場も)は、一人楽しそうな東野氏を見て
「この話題ってウケ狙ってんの?」、「なんなの?」と、若干「ヒキ」気味な
反応だったのだが、今思い返すと、アレは、『幻夜』を雑誌連載中だか、
加筆訂正→単行本化の時期だかで、
「(普段は行かない)カリスマ美容師がいるようなヘア・サロンへ、取材で
行ってきたんですよぉ〜」
って話だったのか・・・と数年越しで納得した。

雑誌の連載を読んでいた読者だけに分る話。ということで、内輪(※熱心
なファン)向けの“含み笑い”だったんだな・・・。

| 日本の小説 | 13:30 │Comments1 | Trackbacks0編集

コメント

相互リンクのご依頼
サイト運営し始めた者なんですが、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://hikaku-lin.com/link/register.html
こちらより、相互リンクしていただけると嬉しいです。
まだまだ、未熟なサイトですが、少しずつコンテンツを充実させていきたいと思ってます。
突然、失礼しました。
QIb41jl0

2009.06.06(Sat) 14:14 | URL | hikaku|編集

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://babyspoon1968.blog34.fc2.com/tb.php/88-e2ef52eb

| main |

Profile

街猿

Author:街猿
昭和生まれの♂(牡)。

Calender

10 | 2009/11 | 12
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

Category

月別アーカイブ

11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12 

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
110位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
50位
アクセスランキングを見る>>