2008.12.30(Tue)
白夜行
![]() | 白夜行 (集英社文庫) (2002/05) 東野 圭吾 商品詳細を見る |
『白夜行』 東野圭吾・著
順番が逆になってしまったが、先週読んだ『幻夜』に姉妹作があると知り
土曜日に最寄駅にある書店で早速購入。
間に、昭和将棋史 (岩波新書)←こんな本や、
船場往来―語り継ぐなにわ商法←こんな本や、
乱世を生きる経営―よみがえる船場商法←こんな本を挟みながら、
土→日→月と3日で読了。(※上記三冊は父親からの借本)
・将棋十五世名人・大山康晴氏の回顧録→
・大阪船場の寝具問屋「和田哲」三代目社長・和田亮介氏の経営本→
・東野圭吾の長編ノワール小説 と、
我ながら「わけのわからん」取り合わせ。でも、それぞれに皆面白い。
『幻夜』読了後に書いた先日のブログで、「得した気分」と書いたが、
この『白夜行』を読み終えた今は、「こっちを先に読めば良かった…」
と少しだけ後悔。
「唐沢雪穂→新海美冬」の両キャラ&両ストーリーに作者が明確
な連続性(繋がり)を「認めているわけではない」とのことだけれど、
こりゃ、どう読んだって「ターミネーター1&2」ばりの連作なのは、
明白だわナ。
この2作品で東野圭吾が創り上げた二人のアンチヒーロー悪女(?)
(唐沢雪穂→新海美冬)は、故・大藪春彦が創作した伝説のアンチ
ヒーローたち(※朝倉哲也・伊達邦彦・北野晶夫…等)でさえ、ただの
「銃器&車&ドンパチ好きのケツの青いガキ」に思わせてしまう程の
“凄みのある(怖い)”キャラクター。
男性主人公のノワールやハードボイルドを評する時によく使われる
常套句「非情」なんてのは、「そんなん、当ったり前やないの!」と
蹴散らせる勢いで、「ウチのモン(物)はウチのモン。アンタのモンも
ウチのモン。世の中全てウチのモン…」と突き進む怪物的な怖さだ。
何故それだけ“怪物的に怖い”か?と言えば…やっぱり、“絶対に
怪物本人の独白を許さない”「描写の視点」と「構成の妙」かな・・・。
2作とも、彼女(たち)本人視点の描写が全くなく、彼女と彼女の「影
のパートナー(男性)」の人生に巻き込まれ&破滅してゆく、周りの
人間たち視点の描写に徹している。だから読者は、「何が起こった
か?」という”現象”の全体は俯瞰出来ても、「どういう心持の人間
が、何故起こしたのか?」という“心象”が完全には俯瞰出来ない。
もっと突っ込んで言うと…「犯罪を追う(※解明しようとする)者」は、
比較的冗舌に内面を吐露するが、「犯罪を行い&追われる者」が
二人居て、その内一人の内面を作者は、一切明かしてくれない
(=読者が想像するしかない)。という構成になっているわけ。
(※『白夜行』の方は、二人とも分らんけど・・・)
『白夜行』の時代背景は、1973〜1992年。「高度成長期の終焉→
オイルショック・不況→プラザ合意→バブル景気→その終焉」まで
の社会・世相・風俗を、物語の設定に絶妙に生かしている所が
この時代をリアルタイムで生きてきた私には、よく分かって楽しい。
『幻夜』の方は、1995〜2000年辺りまでの“最近過去”を時代背景
としていたが、特に物語の発端になる「阪神大震災」は、私自身、
地元・神戸で「1.17」を実体験(※地震直前に関東から神戸へ転居
していた。というオマケ付き)しているだけに、臨場感抜群だった。
このシリーズ(?)、この二作以後も続けてくれないだろうか?
沢山じゃなくてもいい。せめて、もう一作。是非読みたい。
出来れば、「怪物 vs 怪物」の物語を・・・。
【追記】:『幻夜』を読んだ後に、思い出した事。
2001〜2003年頃。サントリーの山崎蒸留所に人気ミステリ作家数人を
集めて、日本推理作家協会&サントリー協力で行われたトークショーが、
CSTVの『ミステリー・チャンネル』で放送されていたのを視た事があった。
当時協会理事長だった北方謙三、理事の大沢在昌が司会を務め、逢坂
剛、高村薫、馳星周、小池真理子、藤田宜永、黒川博行・・・(敬称略)等
の御歴々が出演した中に、東野氏の“男前な”顔も混じって、「ウィスキー
&ミステリー」などという、“殆ど無理矢理な雑談”をしていたわけだが…、
そんな中、「近況は?」などと、北方理事長による“下手糞な振り”(※あの
センセ、TV映えはするんだけど司会は酷いw)を受けた東野氏。
意味ありげな含み笑いを伴いながら、
「いやぁ〜最近、“カリスマ美容師”に髪を切ってもらいましてねェ・・・」と
随分唐突な話を始めた。
TVを見ていた私(※そして多分会場も)は、一人楽しそうな東野氏を見て
「この話題ってウケ狙ってんの?」、「なんなの?」と、若干「ヒキ」気味な
反応だったのだが、今思い返すと、アレは、『幻夜』を雑誌連載中だか、
加筆訂正→単行本化の時期だかで、
「(普段は行かない)カリスマ美容師がいるようなヘア・サロンへ、取材で
行ってきたんですよぉ〜」って話だったのか・・・と数年越しで納得した。
雑誌の連載を読んでいた読者だけに分る話。ということで、内輪(※熱心
なファン)向けの“含み笑い”だったんだな・・・。
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QIb41jl0
2009.06.06(Sat) 14:14 | URL | hikaku|編集